1998年/文藝春秋/小説
「侯爵サド」に続いて藤本ひとみさんが書いたサドの本。
作風は前作と全く同じ、ナレーションから登場人物の台詞に到るまでほとんど、往年発表された数々のサド関係の書物からの引用句をつなげ合わせて書かれている。
一応フィクションのドラマのエピソードもあり。
前作はかのサドが孕ませたとされる召使アンヌ・サブロニエールの子供が生きていて(史実では生まれて3カ月で死んだことになっている)、サドと親子の愛憎劇の様なものを繰り広げるお話しだったが、今回はサド侯爵夫人ルネのサドへの愛と、彼女を利用してサドを破滅させんとする男との恋愛ドラマが中心になっている。
小説としてのオモシロさという点では・・・・やはり、コバルト文庫の世界でしょうか。
(ザッピー浅野)