1967/critique
ジルベール・レリーが1952年に出版した、全二巻1200ページにも及ぶ広大なサド伝を短縮したもの。精神分析学的見地が必要以上に目に付くのが難だが、サドの犯した数々のスキャンダルや晩年の様子、作品に関する論文など、貴重な資料多数。レリー氏のサド研究と言えば、サドの人生を一日一日克明に再現した前記のサド伝が有名だが、このポケット文庫版のエキストラクトではその執拗さは味わえないものの、氏のサドへの愛情は随所に伝わってくる一冊だ。
(ザッピー浅野)