1997年9月25日/文藝春秋/小説
サド侯爵の人生を小説形式で描いた本。シャラントン精神病院での生活を中心に、裁判の証言や回想シーンなどを折り込み、サドの人生と人間像に迫る。「ロリス嬢との初恋」「ジャンヌ・テスタル事件」「マルセイユ事件」「アルクイユ事件」「少女スキャンダル」等、メインな出来事はひととおりカバーしてある。末尾の参考文献にヴァルター・レニッヒ、ジルベール・レリー、澁澤龍彦等のサド関係の著作があるが、本文の登場人物の台詞からあらゆる記述に至るまで、これらの資料から引用した語句をつなげあわせたような文章がほとんど。当サイトの「サド侯爵完全データ」もやはりこれらの文献を元に作成したので、当サイトを参照しながら読むと、サドの人生とその周辺の人間達について徹底できて大変勉強になる。
一応フィクションのドラマのエピソードもあり。
(ザッピー浅野)