1959/エッセイ集
日本におけるサド研究の権威、澁澤龍彦氏が1959年、31歳の時に発表した処女エッセイ集。70年代に絶版になって以来、どの出版社からも単行本の形で発売されていなかったため、なかなか我々の目に触れることがなかった。「ソドムの120日」を始めとするサド文学論や、サドの生涯を簡潔かつドラマチックに密度濃くまとめた小論等、氏の冴え渡る筆遣いの中、20世紀のサドがいきいきと蘇る。また、サドの周辺のヨーロッパ文化に関する論文も、興味のある人には面白く読むことが出来る。
(ザッピー浅野)