監督/Gwyneth Gibby
キャスト/Nick Mancuso, Janet Gunn,
Charlotte Nielsen, John Rhys-Davies
製作/1996年、米
原題はMarquis de Sadeです。
サドの伝記と、作品と、何か怪しげなものの入り交じったような映画ですね。
(情報提供:みき)
サドの人生の要素をバラバラに解体し、並べ替えて壮大な「サド的」ファンタジーを創造したと言う感じの作品。
格調高い雰囲気ながらストーリーは奇想天外。三十代か四十代と思われるサド侯爵が、出版された「ソドムの120日」の嫌疑で裁判にかけられ、マレー警部に投獄される。牢獄のなかで、行方不明になった姉のジュリエットを探して面会に来たジュスティーヌと出会い、言葉によって彼女を背徳の世界に誘惑する。危うくギロチンにかけられそうになったサドはジュスティーヌの助け(ジュスティーヌがサドの為に殺人を犯す!)によって逃亡し、最後はジュリエットを監禁し影で凌辱していたマレー警部と対決。
登場人物も豪華で、やたら若くて美しいモントルイユ夫人を始め、ゴトン、ルネ夫人、ラトゥール、ゴーフリディ(実際には財産管理人のはずの彼は、ラトゥールと並んでサドの下男として活躍。個人的にはここにはカルトロンをあてがうべきだと思ったが)、ローズ・ケレル、コレット嬢なども出ていた。
好色で放蕩者のサドに、文学的で詩的な台詞と味付けを施し、個性的でスーパー・クールなサド像を見事に実現している。
制作はかのB級映画の帝王ロジャー・コーマンのコンコルド・ピクチャーズで、コーマン自身もエグゼクティヴ・プロデューサーにクレジットされている。
余談だが、コーマンは、60年代にドイツで制作されたサドの伝記映画にも携っている。
(ザッピー浅野)