「アリーヌとヴァルクール」と同じ年に出版された作品。対話形式の教育物語で、他の有名な大長編小説に比べると小振りな作品だが、傑作であることには間違いない。ある意味でサドの作品のキャラクターのパターンであるリベルタンたち、学んで成長する人、古い道徳を捨てきれずに不幸に陥る人の構図が、ワンシチュエーションのダイアローグ形式の物語のなかに明確に表現されている。そして真ん中に挿入された長い論文と、どころどころにちりばめられた過激な描写、全てがぬかりなく決まっている。文句なし。
フランスでのオーディオブック版。表紙がなぜか日本の浮世絵になっている珍品である。
(ザッピー浅野)
"個人的には『閨房哲学』が好きです。" ・・・佐々木浮月斎
"僕もサドを愛する一人ですが、やはり閨房哲学がすきですね。 思想的には別に論理性もないし、なんのことはないと思うんですけど、なんかそれが逆にいい。" ・・・Yasuhiro Matsuki