世間一般に言われるように、サドの小説の最大の魅力がその「長さ」「退屈さ」「単調さ」にあるのだとすれば、これは間違いなくサドの最高傑作と言えよう。まあそんな皮肉はなしにしても、この数千ページに渡る一代哲学絵巻をざっと読んでいただければ、良くも悪くもこの作品のすごさはわかって貰えるはずである。200年前に書かれたこの物語の持つ普遍性は、我々が現代社会で幸せに生きてゆく上で障害になる精神的側面を、見事に破壊してしまう力を持っている。どうか、思いきりショックを受けてください。
(ザッピー浅野)
「悪徳の栄え」の文庫本(澁澤龍彦訳)。1/3の短縮バージョン。
"良い小説を書くのは悪人だけだというのは真実ではないか?"(L.M.D.S)
"私がこの本を手にしたのは、20の時。お約束の澁澤経由であります。初めて読んだとき、背中に冷水を浴びせかけられるような、ショックを受けたことを昨日のように覚えております。
言葉本来の意味に置いて、この本は私の人生に多大な影響を与えてくれました。"(小笠原亨)
"次々と登場する「悪徳の信奉者」たち、語られる彼らの哲学、そしてジュリエットの冒険…もう何も言うことはありません。"(北 公二)