サド/Sade

ジャン・ジャック・ブロシェ著、山辺雅彦訳/Jean-Jacques Brochier

1975/評論/審美社(coll. Classiques du XXe siecle. Ed. Universitaires/1966/France)


「生涯」「作品」「テーマ」「文体と意味」の4項目に分かれ、サド侯爵について論じた書。序文にもあるように、サドの哲学をモラリストとして確立された、価値あるものとして認め、簡潔で解りやすく論説している。まずサドの哲学的側面を中心に展開する最初の2章「生涯」「作品」があり、それらを裏付けとしてサドの哲学性に深く分析のメスをいれてゆく「テーマ」「文体と意味」がくる。サド文学における「殺人」の意義性(=罪による自己の必然的な獲得)や、「非理性と狂気の言語」など、面白い切り口が随所にあり、的確にサドの哲学性を分析している。作品だけでなく、サドの人間像や人生まで幅広く考察対象にしているところが特色。小冊ながら、なかなか良質のサド関係の書物といえよう。
ジャン・ジャック・ブロシェは1937年リヨン生まれのサド研究家で、この他には「サド侯爵と唯一の獲得」(1966)という著書がある。

(ザッピー浅野)


HOME.gif goback.gif

Copyright (C) since1996 SADEMANIA.com All rights reserved